
黒焼き
~「イモリ」が媚薬として重宝された江戸時代~
江戸時代、もっとも有名な媚薬は「イモリの黒焼き」でした。
当時の小話にはこのようなものがあります。
四つ目屋(性具や媚薬を売るお店)の主人が外出から帰ってみると、奥の部屋で女房が若い男といちゃついている。
怒鳴りつけると、女房が答えて言うことには、
「この若い人はイモリの黒焼きを買いに来た客。本当に聞くのかと念を押すので、絶対に効きますと答えたら、いきなり私にふりかけてきました。そこでこの男のいうことをきかなかったら、店の信用にかかわるじゃないですか」。
どうして、イモリが媚薬にされたのかというと、これは中国人の考え方によります。
中国では、イモリ自身が精力満点と信じられ、交尾期のイモリを捕らえ、中央の節にある竹の左右に、雄雌のイモリをそれぞれいれて密閉すれば、イモリは境の節を食いちぎってまで交尾するといわれてきました。
また、交尾中のイモリを無理に話して、別々に焼くと、その煙は空中にのぼっていき、やがて一緒になるともいわれてきました。
そんなことからイモリの血を使った貞操鑑別薬もつくられ、雄雌のイモリの血を混ぜ合わせたものを女の肌に塗ると、浮気をした女は色が変わるとされてきたのです。
日本ではイモリの黒焼きが媚薬として売られるようになったのも、中国のこうした話があるからですが、じつをいうと、中国のイモリは日本のイモリとは種類が違います。
日本のイモリが中国のイモリほど、セックスが好きかどうかは分かりません。